認知症の症状


妄想

根拠のない、事実とは異なった内容を事実であると確信していて、論理的に説明してもその考えを訂正することができない考えをいいます。
確信している事実が、現実とかけはなれたおとぎ話のような内容であれば、それが事実ではなく妄想だと気が付きやすいのですが、時には、一緒に暮らしていても事実かどうか分かりづらい場合もあります。

妄想の分類はいく通りかありますが、ここでは、内容による分類のうち認知症に関わりの大きなものを説明します。

(1)被害妄想
 「他人から、悪意をもって傷つけられたり、危険な行為をされている」と確信していることをいいます。

 例えば、

  ● 「隣の○○さんが時々家の中を覗きにくる」

  ● 「食事のとき、自分のお茶碗やお皿だけ欠けているものを出される」

  ● 「家族がグルになって自分だけ除け者にしている」


 などということがあります。


(2)物盗られ妄想
 「他人が自分の物を盗んだ」と確信していることをいいます。

 例えば、

  ● 「○○が財布を盗んだ」

  ● 「通帳や印鑑を全部盗まれてしまった」

  ● 「目を離したすきに○○が家の中まで入ってきて、財布と鍵を盗んでいった」


 などということがあります(110番してしまうこともあります)。


(3)嫉妬妄想
 「妻(夫)や恋人が、貞操を守らないような不道徳なことをしている」と確信していることをいいます。

 例えば、

  ● 「自分がいない時に、家に女がきて夫と浮気している」

  ● (妻が買い物に行くと)「外で浮気をしてきたんだろう」

  ● 「浮気相手と夫がグルになって、自分の財産を狙っている」


 などということがあり、また、暴力に繋がるケースもあります。


(4)被毒妄想
 「食べ物や飲み物に毒が入っている(誰かが毒を入れている)」と確信していることをいいます。

 例えば、

  ● あまりにも水やお茶などの水分を飲まないので、話を聞いてみると
   「ここの水道には毒が入っている」という

  ● ある決まった食べ物しか食べないので、話を聞いてみると
   「家で作るものには毒が入っている」「○○で買ってきたものには毒が入っている」という


 などということがあります。


(5)貧困妄想
 「自分は非常に貧しい」と確信していることをいいます。

 例えば、

  ● 「お金もないし借金を抱えているから病院に行けない」

  ● 「どこかへ行こうにも、まったくお金がないからどうしようもない」

  ● 「借金を抱えていて、身動きが取れない」


 などということがあります。


(6)罪業妄想
 「自分は非常に罪深く、悪い人間だ」と確信していることをいいます。

 例えば、

  ● 「私はここにいてはいけない」と泣きながら言うので、話を聞いてみると
   「私はとても大きな過ちを犯してしまって、とうてい許してもらえない」という

  ● 「私はとても悪い人間なので、罰をうけなければならない」

  ● 「自分はいつも皆に迷惑をかけている悪い存在で、バチがあたっている」


 などということがあります。

「サンタクロースは本当にいるんだよ」私も多くの子どもたちのように、幼いころはそう信じていました。でも、成長するにつれて、サンタさんは父で、クリスマスの楽しいおとぎ話で…と、どうやらサンタさんはいないらしいことに気付いてしまい、今では「トナカイのそりで夜空を巡るサンタさんはいない、ということは事実」だと思っています。でも、サンタさんの存在を心から信じている頃にいきなり、ありとあらゆる「サンタ不在説とその根拠」を突き付けられたら…例えば「トナカイは空を飛べない」とか「サンタの持ってくるプレゼントは誰がお金をだしているのか?」「何故サンタに欲しいものが分かるのか?」「サンタは日本語が分かるのか?」などと言われても、ひとつひとつの根拠を真っ向から否定するような理由を見つけ出すと思います。「空を飛べるトナカイは存在するが、極秘に飼われているからみんな知らないだけなんだ」とか「サンタは世界中の言語を理解している」などなど。
前置きが長くなりましたが、妄想の内容はほかの人には突飛でも、本人にとっては真実です。でも、だからといって、本人にとっての事実を周囲の人にとっても事実としなければならないわけではありません。(HR)

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